韓国って日本とは比較にならないぐらい学歴社会なんです。
いやでも高校生になると受験戦争に巻き込まれていきます。
韓国が学歴社会になってしまった原因、すべてをかけた大学受験に失敗してしまった後の受験生の生活についてなど、ご紹介していきます。
韓国が学歴社会なのはなぜ?
韓国が学歴社会の理由は、高学歴じゃないと大手企業に就職できないからです。
韓国での大手企業とは三星(サムスン)、現代自動車(ヒュンダイ)、LGなど、財閥系の企業のことを言います。
この財閥系の企業に就職できるかどうかで、その後の人生が決まると言っても過言じゃありません。
日本と違い、韓国の中小企業の割合が少なく、その多くが財閥系の下請けのような存在のため、給料もよくありません。
韓国の学生は財閥系の大企業に就職するため、大学受験に必死になるんです。
友達の親戚が三星(サムスン)で働いていたのですが、こういった大企業に就職できても、社内での競争が激しく、生き残るのが大変だそうです。
せっかく大企業に入社しても、若いうちに辞めてしまう人も多いんだそうですよ。
高学歴でも就職できない韓国
韓国のソウルには有名な3つの大学があります。
- ソウル大学
- 高麗(コリョ)大学
- 延世(ヨンセ)大学
韓国では、これら3つの大学の頭文字をとって、SKY(スカイ)と呼ばれています。
過酷な大学受験を乗り越えて、SKYに入学して成績がいいと財閥系の大企業や政治家などへの道が開けます。
ただ、朝鮮日報よれば、激しい受験戦争を勝ち抜いたSKYの卒業生ですら、就職率が66.2%(2017年)なんだそうです。
SKYじゃない大学は、もっと就職率が低いため「大卒の3人に1人は就職できない」という状況に。
このため、韓国では「SKYでも就職率が高くないから、普通の大学ではダメだ」、「少しでもレベルの高い大学を受験する」という考えが、学歴社会を生んでいます。
大学受験に向けての勉強
韓国では一部を除き、小学校、中学校、高校入学時に受験がありません。
そのため、大学受験はそれまでの勉強の成果が試されるとても重要なものとなります。
大学受験を控えた高校生、特に高校3年生は勉強にすべての時間を捧げます。
特にSKYなど一流大学を目指す高校生はこんな感じで勉強漬けの日々です。
- 朝早くから通学し勉強
- 放課後になると図書館へ移動し、夜10時まで自習
- 塾へ行き深夜まで勉強
さらに休みの日にも塾へ通います。
日本では高校の部活動が盛んですが、韓国の高校にはありません。
韓国人にとって、高校は勉強をするためだけに通う場所なんです。
韓国人の友達がSKYの1つである延世(ヨンセ)大学出身なのですが、大学受験に向けての勉強で本当に大変だったそうです。
私が友達と見学に行った延世大学
受験戦争によるストレス
以前の日本にも受験戦争が激しかった時代があります。
近年の日本では詰め込み式の教育から脱却する方法を模索していますが、韓国では「一流大学校に入学=将来が約束される」という考えがあるので、受験戦争は毎年起こっています。
そんな中で受験戦争がいっそう過熱するのは、受験生の大半がソウルにある大学、特にSKY(ソウル大学、高麗大学、延世大学)を目指すからです。
「学歴があれば一流企業に勤めることができて、幸せな家庭を築ける」と信じている韓国人は多くいます。
こういった社会情勢のため、韓国の学生(特に高校生)は勉強に追われ、すさまじいストレスを抱えています。
大学の入試制度
韓国の入試制度は、「大学修学能力試験」と「各大学の入試試験」から成り立っています。
「大学修学能力試験」は略して「修能(スヌン)」や「大修能(テスヌン)」とも呼ばれていて、韓国の大学の共通試験です。
4年制大学(一部を除く)の志願者はこの「大学修学能力試験」を受ける必要があります。
日本のセンター試験(2021年からは大学入学共通テスト)と似たような位置づけですね。
「各大学の入学試験」では面接、高校の内申成績、各大学独自の評価方法で合格か不合格を決めます。
韓国の受験生は高校3年生の11月に「大学修学能力試験」を受け、その成績によって受験大学を選び、年明けから始まる「各大学の入学試験」を受けるという流れです。
「大学修学能力試験」は1日ですべての試験が行われるため、体調を崩したり、遅刻したりしたら取り返しがつきません。
毎年、「大学修学能力試験」の時期になると「遅刻しそうな受験生をパトカーが会場まで送る」といったニュースが恒例になっています。
「大学修学能力試験でいい成績をとらなければいけない」というプレッシャーが大きすぎるため、過去には携帯電話のメールを使ったカンニング事件が起こり、大問題になったこともあります。
大学受験に失敗するとどうなる?
大学の入学採点の割合は「大学修学能力試験」の成績が約6割を占めるため、「大学修学能力試験」での失敗は大学受験そのものの失敗につながってしまいます。
大学受験に失敗すると卒業後に財閥系の大企業はもちろん、名の通った企業に就職できません。
韓国ではブルーカラーを冷遇する傾向がありますので、大学受験に失敗してから技術を身につけて仕事をしていてもよく思われないこともあります。
韓国での大学受験に失敗しても、海外の大学を受験するという方法もあります。
海外であれば、一般の人は大学のレベルがわかりませんし、就職するときに「海外でいろいろと経験した」という評価が得られる可能性があります。
最悪なのは、大学受験に失敗したせいで将来を悲観し、自ら命を断ってしまうこと。
大学受験に失敗したからといって、そこまで思いつめなくてもいいのですが、韓国という学歴社会では「大学受験の失敗=人生の失敗」と見られてしまうこともあるため、絶望してしまう学生もいるようです。
韓国の大学進学率
学歴社会が続いている韓国ですが、今の大学進学率は韓国の歴史の中で見ると、それほど高くないんです。
朝鮮日報によると韓国の大学進学率はこのようになっています。
- 2009年:77.8%
- 2010年:75.4%
- 2012年:71.3%
- 2014年:70.9%
- 2016年:69.8%
2009年の77.8%がピークで、それ以降は少しずつ減少しています。
2017年以降の正確なデータはわかりませんが、韓国の大学進学率が70%を超えていないようです。
大学進学率が減少傾向にある理由は「大学を卒業することだけが人生じゃない」、「大学を卒業したからといって、将来が約束されるわけではない」という考えが広がっているのかもしれません。
「e-Stat」によると日本の大学進学率(2019年の調査)は、58.1%(通信含む)のため、いくら韓国の大学進学率が下がっているとは言え、まだまだ高いですよね。
今回は「韓国がなぜ学歴社会になってしまったのか?」や「大学受験に失敗するとどうなるか?」についてお伝えしました。
韓国は高学歴じゃないと財閥系の大企業に就職ができません。
受験戦争を勝ち抜いて、SKY(ソウル大学、高麗大学、延世大学)を卒業しても、就職率が66.2%という厳しい現実があります。
大学受験に失敗すると有名な企業は就職できず、ブルーカラーの仕事を選んだり、海外の大学を選んだりする人がいます。
韓国の就職率は2009年をピークに年々下がっているため、学歴社会がやわらいできていますが、日本と比較するとまだまだ「過酷な受験戦争がある学歴社会」には変わりありません。